螺旋。その輪廻と、数の暴力。

こんばんは、最近は映像制作で大忙しのケイタソです。iPhoneプログラミングはちょっとペースダウン。そして家には本が山積み。会社にも本が山積み。


昨今思う事。
ホントにきな臭い情報ばかりが飛び交っていて、経営者の視界が非常に悪くなっているのではないかなと。
クラウドとか●aaSとかいうバズワーズはそういったノイズの典型だと思いますし、そういったもので企業を煙に巻いて金をせしめようとする輩もまたノイズです。


確かに、分散メモリ型並列コンピューティングとインターネットがこれほど世界を支えた時代はありません。


しかし、経営者が忘れてはならない事が2つあります。


ひとつは、この成功があくまで結果論であること。
その尻を追いかけたら、その先に成功が待っていると思っている人が少なからずいる。
その傘の下に成功が落ちていると思っている人が少なからずいる。
悪い事言わないから、複雑系経済学をかじってみるといい。


もうひとつは、コンピュータの発展は言わば螺旋であり、その輪廻の歴史であること。
クラウドは一昔前はASPという名前だったし、そのまた一昔前は当たり前すぎて名前すら無かった(クライアント・サーバ型コンピューティングとか言われたりする)。
このマイルストーンをつなぐのはネットワーク技術の発展であり、その狭間にはまた別の時代、ハードウェアの発展を背景とするファット・クライアントの時代が存在した。
そう、実は螺旋とはネットワークとハードウェアが互いに登り詰めながら交互に主役の座を奪うような発展であり、輪廻とはそれがただひたすらに繰り返されることです。
しかしながら、世の中は、今まさに過ぎ去ろうとしている螺旋を掴もうとしている。


人々がクラウドと呼んでいるもの。その構築は、今となっては難しいものではなくなりました。
僕が2年ほど前から取り組んでいる技術も、国内でサービス化する企業がちらほらと出てきました。
「速くない」らしいですけどね。でもそれは至極当然。
速度に限って言えば、「速くなる」技術ではなく、「遅くならない」技術なのですから。
って、横道に逸れましたけど、そろそろ螺旋の一本、ネットワーク技術は一通りの成熟期に至り、勝者が大成した技術はコモディティ化し、ハードウェアの急速な発展が始まる頃です。今はその前夜くらいでしょうか。


このネットワーク時代の成熟に至るまでに注目された技術は、実は目新しいものではありませんでした。つまり、それらは以前から当たり前のように存在しました。
次の時代を支配するハードウェア技術も、以前からあったものが強化されるだけであると思われます。
問題は、それをどう武器にして一番を取るのかということ。


コンピュータの基本的なアーキテクチャはそう簡単には変わりません。
それは、昔からある考え方・常識が通用し得るということです。
ハードウェアも、当然そのルールに従います。
CPUコアもメモリの容量も増殖を続ける。
これを上手く制して「数の暴力」に持ち込むことで、「遅くならない」技術ではなく、真に「速くなる」技術を獲得することができます。
巨大なデータセンタによるスケールアウトが必ずしも得策とはならなくなるということです。


アーキテクチャが覆されないのであれば、ソフトウェア技術もまた然りです。
ネットワークが席巻する時代は分散メモリ型並列コンピューティングが功を奏しましたが、今後は再び共有メモリ型並列コンピューティングが武器となるでしょう。
グリッドコンピューティングもまた「数の暴力」が可能ではありましたが、そこにはいくつかの「弁慶の泣き所」がありました。そのひとつ、「ネットワークコスト」。時代の転換とともに、これに頭を抱えることも少なくなるということです。


そういう意味では、Erlangは注目を集めるのが少し遅すぎたかなと思います。否、人々がErlangに注目するのが遅すぎたと言った方が正確でしょう。
といっても、Erlangは10年後の世界を支える技術となる可能性はあると思います。勉強する価値はあります。
今後のキーワードとしては、OpenMPとかMPIとか、それからOpenCLのようなGPGPU関連もダークホースだと思います。
当然、並列コンピューティングが何であるかを分かっていれば、OpenCVといったキーワードも出てくるかなと思っています。
長らく続いたテキスト主体・テキスト万能の世界に終止符が打たれても良い頃でしょう。


というわけで、わけのわからない文章を超適当な文脈でつらつらと書いてしまいました。
通例であれば、早くて半年後には僕の周囲に理解者が登場し、2年後には視界良好な経営者が手を出しているという状況でしょうか。
そして、破壊者であるGoogleもまた、破壊される立場になる。
ゾクゾクしますね。